平安時代の摂関家松殿の遺構の上に大正期の数寄者が建てた広大かつ貴重な「松殿山荘」の保存のため、公益財団法人の設立及び公開講座にかかるプロデュースを行ってきました。多くの方々のご協力により、昨年は重要文化財指定を受けることができました。
本件のように、歴史を掘り起こしながら建造物や庭といった<場>を保全することは、これからの時代、ますます重要なってくるでしょう。松殿山荘では「今様合」や「花と能」といったイベントを企画・実施してきましたが、 それらは、その<場>でしか感じることのできない時間を通して、その場に刻まれてきた歴史に心を傾けるための仕掛けだと考えています。そうすることで、はじめて「なぜ壊してはいけないのか?」「なぜそのような場が大切なのか?」ということを、真に身体に受けとめることとなり、ただしい保全に向けての大きなエネルギーになるからです。
歴史文化を感じられる大切な<場>は、今なお、壊されつづけています。
時間をかけて刻みこまれてきた「場」、あるいは時間をかけて受け継がれてきた「美」に対する敬意が失われている現代において、時間はかかりますが、「美を感じ取る力」の回復こそが急務だと感じています。
公益財団法人 松殿山荘茶道会
〒611-0002 京都府宇治市木幡南山18
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